ガイドライン輸入・通関2026.07.08
医療機器 輸入手続きガイド — 輸入業許可から通関まで
海外の医療機器を韓国へ持ち込む全工程 — 輸入業許可、品目の許認可、輸入要件の確認、韓国語表示とUDI登録まで。貨物が港で止まる3つの理由も整理しました。

要点サマリー — 医療機器の輸入は資格(輸入業)→ 製品(品目の許認可)→ 物流(要件確認・通関)という3層構造です。この層を順番に積み上げないと貨物は港で止まり、倉庫料は毎日積み上がります。そして通関は終わりではありません — 韓国語表示、UDI登録、供給内訳報告という流通管理義務がその後に続きます。本稿ではその全工程を一本の流れとして整理します。

1層目 — 輸入業許可:資格を整える
品目が何であれ、医療機器を輸入して販売するには、まず会社が食薬処の輸入業許可を取得している必要があります(医療機器法第15条第1項)。これは日本の製造販売業許可に相当する「業」の要件で、品目ごとの手続きとはまったく別枠です。
- 品質責任者の選任 — 資格要件を満たす人員が必要です。小規模の輸入業者が最初にぶつかる要件です。
- 施設要件 — 取り扱う製品に見合った営業所・保管条件。
- 品質文書 — 輸入・販売工程の品質管理手順。
ここまでが「資格」です。これがなければ、下の層の書類がどれほど完璧でも受付されません。
2層目 — 品目の許認可:この製品を持ち込んでよいか
製品のクラスによって手続きが分かれます — 申告(クラスI)、認証(クラスII)、許可(クラスIII・IV)(全体比較)。日本のように最上位が「承認」なのではなく、韓国ではクラスIII・IVが「許可」である点にご注意ください。
輸入ならではのポイントは、資料の持ち主が海外にいるということです。
- 技術文書の材料は製造元が持っています — 仕様、試験成績書、材質情報。海外の成績書がどこまで認められるかは海外試験成績書の受入れガイドで別途扱います。
- クラスII以上は海外製造所のKGMP(K-GMP、韓国GMP)がセットです — 製造元の審査協力なしには成立しません。
- そのため供給契約書に資料提供・審査協力の義務を明記することが、この層における最大の安全装置になります。
3層目 — 通関:貨物が国境を越える日
許認可があっても、通関は別の関門です。
輸入要件の確認 — 医療機器は税関通関時の要件確認対象です。実務では韓国医療機器産業協会を通じた標準通関予定報告の手続きを経て、許認可情報と輸入貨物の情報がここで突き合わされます。
表示と書類の一致 — インボイス・パッキングリストの品目名/モデル名が許認可証と異なれば、それ自体が保留の理由になります。些細に見える表記の違いも、通関では些細ではありません。
HSコードと関税 — 品目分類によって税率と要件が変わります。争点になり得る場合は、関税士との事前検討が必要な領域です。
韓国語表示事項 — ステッカー1枚が通関を分ける
輸入実務で最も後回しにされがちな準備物が韓国語表示(表示記載)です。医療機器法および「医療機器の表示・記載等に関する規定」(MFDS(韓国食品医薬品安全処、旧KFDA)告示)に従い、容器・外装・包装に定められた事項を韓国語で記載しなければならず、これは販売段階ではなく流通前段階の義務です。
主な記載項目の大枠は次のとおりです。製品特性(滅菌、単回使用、使用期限の有無など)によって追加・省略される項目があるため、実際のラベルは品目ごとに確定させる必要があります。
| 区分 | 代表的な項目 | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 事業者情報 | 輸入業者の商号・住所、製造元(製造国・製造者名) | 許認可証の表記と一字単位で一致させます |
| 製品識別 | 品目名・製品名・モデル名、許可(認証・申告)番号 | インボイス・許認可証・ラベルの三者一致が原則です |
| 履歴情報 | 製造番号(ロット)、製造年月、使用期限(該当時) | 原産地ラベルと矛盾すると補完の対象になります |
| 法定文言 | 「医療機器」の表示、単回使用表示(該当時)、包装単位 | 記載漏れが最も多い項目のひとつです |
| 標準コード | UDIバーコード・コードの表示(該当クラス) | 後述のUDIセクションで別途扱います |
貼付のタイミングが戦略です。 原則的な姿は、海外製造所で韓国語ラベルを印刷・貼付して持ち込むことです。製造元が小ロット注文への韓国語ラベル対応に応じない場合、実務では保税地域内での補修作業の承認を受けて韓国語表示ステッカーを貼付してから通関するルートを使います。ただしこのルートは承認・作業の時間が上乗せされ、物量が大きいと作業費もかなりの額になるため、反復輸入であれば製造元での貼付に移行するのが定石です。「通関後に倉庫で貼ればよいのでは」という質問をよく受けますが — 表示のないまま通関・流通する区間が生じる設計は、それ自体がリスクです。ラベルの版下は発注前に確定させるのが最も安上がりです。
添付文書(取扱説明書)も韓国語が必要です。 ラベルだけを翻訳し、取扱説明書を原文のまま残してしまう誤りが頻発します。翻訳の過程で許可を受けた使用目的と異なる表現が入り込めば、それはそれで問題になるため、許可文書と同じ文言に揃える検証が必要です。
UDI標準コードと供給内訳報告 — 通関後の宿題
通関を終えると行政手続きが終わったように見えますが、医療機器統合情報システムを通じた2つの義務が残っています。担当者が交代したときに真っ先に途切れる業務でもあります。
| 区分 | 何を | 誰が | いつ |
|---|---|---|---|
| 標準コード(UDI)登録 | 製品へのUDI表示+統合情報システムへのコード・製品情報の登録 | 輸入業者(製造業者) | 流通(出庫)前 |
| 供給内訳報告 | 供給先・製品・数量などの供給内訳の提出 | 製造・輸入・販売・賃貸業者 | 供給した月の翌月末日まで毎月 |
UDI標準コード登録 — 医療機器に国際標準に基づく標準コード(UDI)を表示し、そのコードと製品情報を医療機器統合情報システムに登録する制度です。クラス別に段階的に施行され、現在は全クラスが適用対象です。輸入実務では、製造元がすでに使用しているGS1などの国際コードをベースに登録するケースが多いのですが、包装単位ごとのコード構成と許認可情報との紐付けでエラーが頻発します。モデル追加や表示変更が発生すれば登録情報も追随させる必要があるため、変更許可・変更申告のイベントとUDI登録を一体で管理するのが安全です。
供給内訳報告 — 医療機関・販売業者などへ供給した内訳を毎月、統合情報システムへ報告する制度です。クラスIII・IVは全製品が対象で、クラスI・IIはMFDSの制度改善により報告対象が縮小され、療養給付(保険償還)対象の治療材料など一部のみが報告対象として運用されています。自社の品目が報告対象かどうかは品目・保険収載の有無によって変わるため、初期の段階で一度確定させておくとよいでしょう。
未履行のリスク — 登録・報告は「やらなくてもすぐには目立たない」タイプの義務であるため、漏れが蓄積しやすい領域です。しかし未登録・未報告は行政処分の対象であり、取引先(病院・流通事業者)がUDI登録の有無を納品条件として確認するケースも増えています。流通履歴がシステムに残る仕組みである以上、後からまとめて整理するより、月次のルーティンにしてしまうほうが何倍も安上がりです。
貨物が港で止まる3つの理由
- 要件の不備 — 品目の許認可・業の許可が完了する前に船積みしてしまったケース。最も多く、最も高くつきます。
- 表記の不一致 — 書類間で品目名・モデル名・数量が食い違うケース。
- 韓国語表示の問題 — 表示記載の要件を通関後に先送りしたケース。補修作業の承認など対応ルートはありますが、時間と費用がかかります。
輸入スケジュール設計の原則
船積みは最後に決めます。 業の許可と品目の許認可が完了する時点を基準に、発注・船積みの日程を逆算してください。「まず貨物、書類は船が来る間に」という進め方は、この業界では倉庫料の請求書になって返ってきます。特に初回輸入では、ラベル確定 → 製造元での貼付(または補修作業の計画)→ 標準通関予定報告 → UDI登録までが一続きのスケジュールです。
よくある差戻し・補完の理由
- インボイス・許認可証・ラベルの品目名/モデル名の三者不一致
- 韓国語表示がないまま到着 — 補修作業の計画がないまま通関を試みる
- 許可番号・輸入業者の表記が表示事項から漏れている、または旧版のまま貼付されている
- 取扱説明書が原文のまま、あるいは訳文が許可された使用目的と一致しない
- UDIの包装単位コード構成の誤り、許認可情報と登録情報の不一致
- 供給内訳報告の対象かどうかを確定しておらず、報告漏れが蓄積
着手前チェックリスト
発注・船積み前
- 輸入業許可(品質責任者を含む)の取得
- 品目の許認可手続きの確定・進行
- 供給契約に資料提供・KGMP協力の義務を反映
- インボイスの表記と許認可証の表記の一致確認
- 韓国語ラベルの版下確定 → 製造元での貼付可否を協議(不可の場合は補修作業の計画)
初回通関・販売前
- 標準通関予定報告など要件確認手続きの準備
- 取扱説明書の韓国語版と許可文書の表現一致の検証
- UDI標準コードの採番・表示、統合情報システムへの登録(出庫前)
- 自社品目が供給内訳報告の対象かを確定 → 月次報告のルーティン化
輸入は書類と物流のテンポの勝負です。発注前に無料事前レビューへ品目情報をお送りいただければ、ラベル・UDIまで含めた船積み逆算スケジュール表を作成いたします。
よくあるご質問
- Q. 輸入業許可と品目の手続き(申告・認証・許可)は何が違いますか?
- 輸入業許可は「自社に医療機器を輸入する資格があるか」に関するもの、品目手続きは「この製品を輸入してよいか」に関するものです。両方が揃っている必要があり、業の許可がないまま品目書類だけを完成させても、受付の段階で止まります。
- Q. UDI標準コードの登録と供給内訳報告は、通関とは別のものですか?
- 別個の義務です。通関を終えても、輸入業者は医療機器統合情報システムに標準コードと製品情報を登録しなければならず、報告対象の品目であれば供給した月の翌月末日までに供給内訳を報告する必要があります。通関は終わりではなく、流通管理義務の始まりです。
- Q. 通関が保留になったらどうすればよいですか?
- 保留の理由(要件の不備、表示の問題、書類の不一致など)を特定することが先決です。理由によって要件の補完、保税地域内での補修作業、返送など対応が分かれます。倉庫料は毎日積み上がるため、原因の把握と対応の決定を早く行うほど損失は小さくなります。
