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ガイドライン手続き別2026.09.04

医療機器の臨床試験 — いつ必要で、何から決めるか

臨床試験はすべての製品に必要な手続きではありません。要否を決めるのは等級ではなく「既存資料で安全性・有効性を説明できるか」です。承認の構造と例外、そして日程への影響を整理しました。

要点 — 臨床試験はすべての製品が通る手続きではありません。要否を実質的に決めるのは等級ではなく**「既存資料で安全性と有効性を説明できるか」です。必要と判断されれば、医療機器法第10条により臨床試験計画書を作成し食薬処長の承認を受ける手続きが前に付き、変更のときも同じです。そしてこの手続きは全体日程を最も大きく左右する変数**です。2026年9月確認基準で整理しました。

まず —「うちも臨床試験が必要ですか」

この問いに等級では答えられません。3等級だから必ず行うわけでも、2等級だから必ず免れるわけでもありません。

判断の実質はこれです — 手元の資料で安全性と有効性を説明できるか。

説明の材料はおおむね三つです。

材料 何をするか
既承認品との比較 すでに承認された製品と原理・構造・使用目的が実質的に同じであることを示す
文献資料 当該技術・適応に関する公開された根拠を整理する
非臨床資料 性能試験・生物学的安全性など実験室の根拠で説明する

この三つで説明が立てば臨床試験なしで進められ、穴が残ればその穴を埋める資料として臨床が求められます。等級が高いほど説明が難しくなり臨床要求の可能性が高まるのであって、等級がそのまま臨床試験の義務を生む構造ではありません。

したがって実務の最初の作業は臨床試験の見積りを取ることではなく、「自社製品のどの部分が既存資料で説明されないか」を特定する仕事です。新開発製品ならその穴は大きく、既存製品の改良なら改良された部分にだけあるかもしれません。

必要なら — 計画承認が先です

臨床試験はすぐに始めるものではありません。

医療機器で臨床試験をしようとする者は、臨床試験計画書を作成して食品医薬品安全処長の承認を受けなければならず、臨床試験計画書を変更するときも同様である。ただし、市販中の医療機器の許可事項に対する臨床的効果を観察する場合や、臨床試験の被験者に危害を及ぼすおそれが少ない場合など総理令で定める臨床試験の場合は、この限りでない。 — 医療機器法第10条(臨床試験計画の承認等)

実務ではこの条文の三つの部分がそれぞれ重要です。

①計画書の承認が先行します。 試験を設計し機関を手配することから始められません。計画承認が前にあり、その分の期間が日程にまず入ります。

②変更も承認対象です。 試験を進めるうちに計画に手を入れる状況が生じます。そのたびに承認手続きが再び付くことを日程に反映しておく必要があります。

③例外があります。 市販中の医療機器の許可事項に対する臨床的効果を観察する場合、被験者に危害を及ぼすおそれが少ない場合など、総理令で定める臨床試験は承認対象から外れます。ただし「自社の試験がその例外に当たる」という判断は、推測ではなく総理令の要件で確認しなければなりません。

機関と管理基準も法令が定めます

臨床試験は「協力してくれる病院を見つければよい」仕事ではありません。

第10条第7項は、臨床試験計画に含めるべき事項、被験者の同意の内容・時期・方法、臨床試験の実施基準、臨床試験機関の指定基準と手続き、臨床試験管理基準などを総理令で定めることとしています。

実務上の含意は二つです。

  • 機関の要件が定められています。 協力病院を決める前に、その機関が要件を満たすかを確認する必要があります
  • 管理基準が定められています。 試験をどう実施し記録するかが基準で定まっているため、その基準を知らずに設計した試験は後で資料として使えない可能性があります

日程への影響 — この分野の最大変数

臨床試験が必要な製品とそうでない製品は、事業計画の大きさが違います。

理由は、各段階が別の主体の日程に依存しているからです。

  1. 計画承認 — 規制当局の日程
  2. 機関の手配と審査 — 病院の日程
  3. 被験者募集 — 最も予測が難しい区間
  4. 試験の実施
  5. 結果の整理と資料化

とくに3番です。対象疾患と基準が狭いほど募集は長くなり、この区間は予算で短縮しにくいものです。

したがって要否の判断は開発初期に行っておく必要があります。技術文書をすべて作った後に「臨床が必要」という答えを受ければ、その時点から上の五段階が新たに始まります。

体外診断なら名称が違います

同じ位置で体外診断用医療機器臨床的性能試験という別の名称と別の承認構造を使います。用語が違えば探すべき規定も異なるため、該当品目なら体外診断用医療機器ガイドを先にご覧いただくほうが正確です。

他の資料との関係

臨床試験は他の資料を代替しません。非臨床資料が手薄なら臨床では埋められず、むしろ逆が成り立ちます — 非臨床資料が緻密なほど臨床の負担が減る方向です。

よくある失敗

  • 等級だけを見て臨床試験の要否を断定する
  • 既存資料で説明されない部分を特定しないまま臨床の見積りから取る
  • 計画承認の期間を日程に入れない
  • 計画変更にも承認が付くことを反映しない
  • 機関要件・管理基準を確認せずに試験を設計し、資料として使えなくなる
  • 体外診断品目なのに一般の医療機器の臨床試験規定を適用する

着手前チェックリスト

  • 既存資料(既承認品との比較・文献・非臨床)で説明されない部分を特定
  • その穴を埋める方法が臨床試験か、追加の非臨床資料かを判断
  • 臨床が必要なら計画承認の期間を全体日程にまず反映
  • 総理令上の承認の例外に当たるかを要件で確認(推測は禁物)
  • 協力機関が指定基準を満たすかを確認
  • 管理基準を反映して試験を設計 — 後で資料として使えるように
  • 計画変更時の再承認を日程の余裕として反映
  • 体外診断なら臨床的性能試験の規定へ切り替え

臨床試験は要否を早く判断するほど費用が減ります。 製品の使用目的と既存保有資料のリストさえあれば、どの部分が説明されず、その穴をどの資料で埋めるのが合理的かから無料事前検討で確認します。

よくあるご質問

Q. 臨床試験は何等級から必要ですか。
等級で一律に決まりません。判断の実質は、既存資料 — 文献、既承認品との同等性、非臨床資料 — で安全性と有効性を説明できるかです。上位等級ほどその説明が難しくなり臨床資料を求められる可能性が高まるのであって、等級が臨床試験の義務を直接生む構造ではありません。
Q. 臨床試験を行うにはまず何を受けますか。
医療機器法第10条により、臨床試験計画書を作成して食品医薬品安全処長の承認を受けなければならず、計画書を変更するときも同じです。ただし市販中の医療機器の許可事項に対する臨床的効果を観察する場合や、被験者に危害を及ぼすおそれが少ない場合など、総理令で定める臨床試験は例外です。
Q. 臨床試験はどの病院でもできますか。
臨床試験機関の指定基準と手続き、臨床試験管理基準は総理令で定めることとされています(第10条第7項)。つまり機関の要件が法令で定められているため、協力病院を決める前にその機関が要件を満たすかを確認する必要があります。
Q. 臨床試験は日程にどれだけ影響しますか。
この分野で日程を最も大きく左右する要素です。計画承認、被験者募集、試験実施、結果の整理が順に続き、各段階が別の主体の日程に依存するためです。したがって要否を開発初期に判断しておかないと事業計画が成立しません。

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