ガイドラインGMP2026.09.09
ISO 13485とKGMP — 何が同じで何が違うのか
ISO 13485の認証書があればKGMPは終わりではないか、という質問をよく受けます。答えは「骨組みは同じで、手続きが違う」です。KGMP告示の別表2はISO 13485と同じ第4章から第8章の構造で組まれていますが、認定の主体・有効期間・現場調査・韓国法令が上乗せする要求事項が異なります。告示全文を基準に、そのまま使えるものと追加で準備すべきもの、MDSAPだけが開く道を整理しました。
要点サマリー — ISO 13485とKGMPの関係を一行にすれば「同じ骨組み、違う手続き」です。KGMP告示の別表2はISO 13485と同じく第4章(品質経営システム)から第8章(測定・分析及び改善)の構造で組まれており、文書の大半はそのまま使えます。しかし適合認定書を発給する主体、3年の有効期間と定期審査、現場調査、韓国法令が上乗せする要求事項が異なり、書類検討だけで審査を受ける道はISO 13485ではなくMDSAP適合認定書にだけ開かれています。2026年9月8日、告示第2026-46号の全文を直接確認して整理しました。
まず正確にしておくこと — 告示にISO 13485という言葉はありません
「医療機器製造及び品質管理基準」(食薬処告示第2026-46号、2026年7月1日施行)の全文135ページを検索すると、ISO 13485という文字列は一度も出てきません。その代わり別表2「医療機器適合性認定等審査基準」がISO 13485と同じ章・節番号体系で要求事項を記しています。だから実務では「KGMPはISO 13485を韓国法令に合わせて移したもの」と呼ばれ、その言い方は概ね正しいものです。
ただし「移したもの」であって「同じもの」ではありません。標準は会社が自発的に採用して民間認証機関で認証を受けるものであり、告示は2等級以上の医療機器を製造・輸入するなら必ず経なければならない法令上の手続きです。違いはここから分かれます。
1. 同じもの — 文書の骨組み
別表2の構造は次のとおりです。
| 別表2 | 内容 | ISO 13485対応 |
|---|---|---|
| 4. 品質経営システム | 4.1 一般要求事項 · 4.2 文書化要求事項(4.2.2 品質マニュアル · 4.2.3 医療機器ファイル · 4.2.4 文書管理 · 4.2.5 記録管理) | 第4章 |
| 5. 経営責任 | 経営意志 · 顧客重視 · 品質方針 · 計画 · 責任と権限 · 経営検討 | 第5章 |
| 6. 資源管理 | 人的資源 · 基盤施設 · 作業環境 | 第6章 |
| 7. 製品実現 | 計画 · 顧客関連プロセス · 設計開発 · 購買 · 生産及びサービス(7.5.9 追跡性を含む) · 監視装置 | 第7章 |
| 8. 測定、分析及び改善 | 監視・測定 · 8.3 不適合製品の管理 · データ分析 · 改善 | 第8章 |
ISO 13485の体系が生きている製造所であれば、品質マニュアル・手順書・製品標準書・記録の骨組みはすでにあるわけです。KGMP適合認定ガイドで「実務はギャップ分析から始まる」と書いた理由がこれです。
2. 違うもの — 手続きと法令
認定の主体と文書
- ISO 13485 — 認定機関の認定を受けた民間の認証機関が審査し、認証書を発給します。どの機関を選ぶかは会社が決めます。
- KGMP — 品質管理審査機関が審査し、審査結果が適合であれば別紙様式の適合認定書を発給します(告示第8条第9項)。審査主体は別表4により審査機関単独、または地方食薬庁との合同で定まります。
審査区分と有効期間
| ISO 13485認証 | KGMP適合認定 | |
|---|---|---|
| 審査区分 | 初回 → サーベイランス → 更新(認証機関の規定) | 初回・追加・変更・定期の4種(第4条第1項) |
| 有効期間 | 通常3年 | 3年(第9条第1項)。定期審査は3年ごとに1回(第4条第2項)、満了3か月前までに申請(第7条第3項) |
| 対象 | 会社が定めた適用範囲 | 製造所・品目群単位(別表3) |
| 適用除外 | — | 輸出用・1等級・臨床試験用は審査を除外可能(第3条第2項) |
韓国法令が上乗せする要求事項
同じ番号体系の中でも、韓国の告示が独自に埋めた場所があります。告示がMDSAP活用審査でも「医療機器法令等で要求する事項への適合を確認できる資料」として必ず提出させる一覧(第7条第3項ダ目)が、まさにその場所です。
- 品質マニュアル
- 記録管理関連手順書
- 品質責任者の業務範囲等を確認できる手順書 — 別表2の5.5.2「品質責任者」。ISO 13485の管理責任者の位置に、韓国は法定の品質責任者を置きます
- 追跡管理対象医療機器の管理手順書(該当時) — 別表2の7.5.9.2 特別要求事項
- 異常事例報告及び勧告文関連手順書
これに加えて審査は韓国語の文書と記録で進み、判定は項目ごとにA(適切)・B(補完必要)・C(不適切)・D(該当なし)で付けられ、Cは医療機器法令違反を含みます(別表2第9章)。標準の認証にはない層です。
3. 書類検討だけで進む道 — ISO 13485ではなくMDSAPです
「認証書があるのだから現場調査は省略されるのでは」という質問には、条文で答えられます。告示第6条第2項は書類検討のみを実施する場合を7つ列挙しています — 追加審査、所在地変更の変更審査、他の業者が同じ製造所について有効な適合認定書を保有する場合、定期審査対象の製造所を2つ以上保有する場合の残りの製造所、体外診断医療機器の適合認定書保有、MDSAP適合認定書の保有、優秀製造所の定期審査。ISO 13485認証書の保有はこの一覧にありません。
MDSAPは標準ではなく審査プログラムです。別表1第70号は「米国、日本などの正会員国が共同で指定して運営する審査機関から受けた品質経営システム適合性認定審査結果を複数の国で相互承認する制度」と定義しています。この適合認定書を保有すると、次が変わります。
- 書類検討のみで審査できます(第6条第2項第6号)。ただし定期審査対象の製造所、審査結果に重大な不適合があり食薬処長が認める製造所、融複合医療機器の製造所、人体由来成分・組織を使用する製造所は現場調査を行います(同条第3項第4号)
- 提出資料が変わります — MDSAP適合認定書の写しと審査結果資料(不適合報告書と是正・予防措置を含む)、品目群別最上位等級品目の製品標準書、上記「医療機器法令要求事項」資料5種、MDSAP対象製品と審査対象製品の相関関係資料(第7条第3項)
- 有効期間がMDSAP適合認定書と同じに算定されます(第9条)
整理すると、ISO 13485は準備を楽にし、MDSAPは手続きを短くします。両者は異なる層の道具です。2026年8月に食薬処が国内製造社の海外進出向けにMDSAP審査対応ガイドライン3種を出したのも同じ文脈です — このガイドラインの内容は別の記事で整理します。
4. では実務はどうなるか
すでにISO 13485がある製造所(海外製造元を含む)
- 別表2を項目ごとに広げ、既存文書を照合します — 特に4.2.3医療機器ファイル、5.5.2品質責任者、7.5.9追跡性、8.3不適合製品
- 韓国法令要求事項5種(上記一覧)の手順書を埋めるか、既存手順書に節を追加します
- 審査提出用の韓国語文書・記録一式を作ります。翻訳の範囲と日程をここで過小評価すると全体日程がずれます
- 現場調査が予定されていれば記録中心の模擬点検を行います。審査当日の質問はマニュアルではなく記録に向かいます
まだどちらもない製造所
- 最初から別表2基準で一式を作れば、後にISO 13485認証を受けるときに再利用できます。逆の順序よりこちらの方が二重作業が少なくなります。
- 輸出計画があり対象国がMDSAP正会員国なら、最初からMDSAP審査を念頭に体系を設計するのが、KGMP定期審査まで含めて最も経済的です。
よくある失敗
- ISO 13485認証書の写しを出せばKGMPの書類が減ると期待する場合 — 第7条第1項が求める「規制当局または規制当局から委任された機関が発行した適合認定書」は第6条第2項・第6項の場合に限ります
- 管理責任者だけを置き、法定の品質責任者を選任しないまま審査を申請する場合
- 追跡管理対象品目なのに7.5.9.2の特別要求事項(部品・原材料・作業環境の記録、検査・試験要員の識別)が手順にない場合
- 有効期間満了3か月前という定期審査申請期限を、認証機関の更新日程と混同する場合
- 海外製造元の英文文書をそのまま出し、審査の場で韓国語資料を求められる場合
進める前のチェックリスト
- 製造所・品目群の確定 → 別表3の品目群と審査区分(初回・追加・変更・定期)の確認
- MDSAP適合認定書の保有確認 → 保有時は書類検討の可否と現場調査の例外(第6条第3項第4号)の判断
- 別表2の項目別ギャップ分析表の作成(あり・補完・新規)
- 韓国法令要求手順5種(品質マニュアル・記録管理・品質責任者・追跡管理・異常事例報告)の準備
- 品質責任者の選任・教育修了の確認
- 韓国語提出文書の範囲・翻訳日程の確定
- 定期審査なら満了3か月前の申請日を台帳に記録
ISO 13485を持つ会社がKGMPで詰まる地点は、たいてい技術ではなく韓国法令が上乗せしたいくつかの節と韓国語の記録です。どの項目がそのまま使え、どの項目を新たに埋めるべきか、MDSAPで手続きを短くできる構造かを、まず無料事前検討でご確認いたします。
よくあるご質問
- Q. ISO 13485の認証があればKGMPは免除されますか?
- 免除されません。KGMPは「医療機器製造及び品質管理基準」(食薬処告示第2026-46号)に基づき品質管理審査機関が発給する適合認定書で証明する手続きであり、ISO 13485認証書は民間の認証機関が国際標準への適合を証明する文書です。告示は現場調査なしに書類検討だけで審査する場合を第6条第2項に7つ列挙していますが、その中にISO 13485認証書の保有はありません。書類検討だけで進む道を開くのはMDSAP適合認定書です。
- Q. ISO 13485の文書をそのままKGMP審査に提出してもよいですか?
- 骨組みはそのまま使えます。別表2は4.品質経営システム、5.経営責任、6.資源管理、7.製品実現、8.測定・分析及び改善の構造で、4.2.3医療機器ファイル、7.5.9追跡性のような条項番号までISO 13485と噛み合っています。ただし5.5.2品質責任者、7.5.9.2追跡管理対象医療機器の特別要求事項のように韓国法令が上乗せした項目は別途埋める必要があり、審査は韓国語の文書と記録で進みます。実務は既存文書と別表2を項目ごとに照合するギャップ分析から始まります。
- Q. MDSAPはISO 13485と何が違いますか?
- ISO 13485は標準で、MDSAPは審査プログラムです。告示別表1第70号はMDSAPを、米国・日本などの正会員国が共同で指定した審査機関の品質経営システム審査結果を複数国で相互承認する制度と定義しています。告示はMDSAP適合認定書を保有する製造所に対して書類検討だけで審査できるようにし(第6条第2項第6号)、その場合の適合認定書の有効期間をMDSAP適合認定書と同じに算定します(第9条)。ISO 13485認証書単独ではこの条項は開きません。
- Q. ISO 13485審査員の教育や資格証はKGMPにも通用しますか?
- 別物です。ISO 13485審査員教育は民間の教育機関が運営する課程であり、KGMP審査員は2026年7月1日施行の「医療機器製造及び品質管理関連機関指定等に関する規定」(告示第2026-47号)により資格が制度化された立場です。社内で品質経営システムを運営するうえではどちらの教育も有用ですが、いずれもKGMP適合認定そのものを代替しません。
