ガイドライン品目別2026.09.11
デジタル治療機器の許可 — 法にはない名前、告示の製品コードにあります
デジタル医療製品法に「デジタル治療機器」という用語はありません。その名前が規範文書に登場する場所は、分類・等級告示の製品コードの一つの枠です。ところがその一枠が、等級と許可トラック、そして臨床試験資料の免除可否まで決めます。条文で座標を押さえました。
要点サマリー — デジタル治療機器を準備する会社が最初にぶつかる事実はこれです。法にはその名前がありません。デジタル医療製品法と施行令・施行規則の全体を探しても「デジタル治療機器」という言葉は出てきません。その名前が規範文書に載っている場所は分類・等級告示 別表3の製品コードの一枠です。ところがその一枠が三つを決めます — 等級、許可・認証・届出のどのトラックか、そして臨床試験資料の免除を受けられるか。2026年9月確認基準で条文を押さえました。
1. まず制度の地図から
2024年1月23日に制定された「デジタル医療製品法」が2025年1月24日に施行され、層が一つ増えました。ただし代替ではなく上載せです。
- 第5条(他の法律との関係) — デジタル医療機器に関してこの法に規定されたものを除いては「医療機器法」と「体外診断医療機器法」を準用します
- 第8条第1項 — この法の製造業許可を受けた者はデジタル医療機器に限定して医療機器法第6条第1項の製造業許可を受けたものとみなされます
法が分ける製品は三つです(第2条第1号)。
| 区分 | 定義の要旨 |
|---|---|
| デジタル医療機器 | デジタル技術が適用された医療機器(体外診断医療機器を含む)、またはこれとデジタル医療・健康支援機器が組み合わされた製品 |
| デジタル融合医薬品 | 薬事法上の医薬品とデジタル医療機器等が組み合わされた医薬品。ただし主たる機能がデジタル医療機器に該当する場合は除外 |
| デジタル医療・健康支援機器 | デジタル医療機器ではなく、医療支援・健康維持向上目的の生体信号モニタリング・測定、生活習慣の記録・分析製品で食薬処長が指定 |
ここでの「デジタル技術」は施行規則第2条が定めます — 知能情報技術、知能型ロボット活用技術、情報通信活用技術、仮想融合技術、その他食薬処長が告示する先端技術。
そこで最初の分かれ道はこうです。デジタル技術が適用されていないソフトウェア医療機器は依然として医療機器法の管轄であり、デジタル技術が適用されたものだけにデジタル医療製品法が上載せされます。SaMD許可ガイドが扱う判断がこれに先行します。
2. 「デジタル治療機器」はどこにあるか — 製品コードです
「デジタル医療製品の分類及び等級指定等に関する規定」別表3は製品コードを7桁で設計します。
主たる使用目的2桁 + デジタル技術の類型3桁 + 形態2桁
主たる使用目的の大分類はAからIまでです — A検査、B診断、C治療、D臨床的管理誘導、E障害補助・軽減、F情報提供・管理、G医薬品補助、Hその他の目的、I融合製品。
そしてC(治療)の2桁目がこう分かれます。
| コード | 細目の使用目的 |
|---|---|
| C1 | 手術または施術(支援) |
| C2 | 治療計画および模擬施術 |
| C3 | デジタル治療機器 |
| C4 | その他 |
これが現行の法令体系で「デジタル治療機器」が規範テキストとして登場する唯一の場所です。別個の法的製品群ではなく製品コード上の座標です。
デジタル技術の桁(3~5桁目)はA独立型ソフトウェア技術、B人工知能技術、C知能型ロボット技術、D超高性能コンピューティング技術、E仮想・融合技術に分かれます。
定義を含む文書は別にあります。食薬処の民願人案内書「デジタル治療機器許可・審査ガイドライン」(案内書-1045-01、2020年8月27日)はデジタル治療機器を「医学的障害や疾病を予防、管理、治療するために患者に根拠に基づく治療的介入を提供するソフトウェア医療機器」と記します。ただしこの案内書はデジタル医療製品法以前に医療機器法を基盤として作成されており、案内書自ら対外的な法的効力を持たないと明示しています。
3. 座標が決めるもの一 — 等級
分類・等級告示別表4は独立型ソフトウェアの等級を二軸のマトリクスで定めます。
| 医療的状況 \ 医療に及ぼす影響 | 治療・リハビリ・検査・診断・医薬品補助 | 臨床的管理誘導 | 情報提供・管理・その他 |
|---|---|---|---|
| 危篤・致命的(即時~24時間以内の死亡) | 4等級 | 3等級 | 2等級 |
| 深刻(重症疾患) | 3等級 | 2等級 | 1等級 |
| 深刻でない | 2等級 | 1等級 | 1等級 |
これに性能低下・誤作動時の被害水準による調整が付きます — 死亡の可能性があれば+1、被害がなければ−1。ただし4等級を超えれば4等級とし、2等級から1等級への引き下げは行わず、1等級と判断された場合にはこの調整を適用しません。
読み方は簡単です。治療は最も左の列です。同じ疾患でも情報提供ソフトウェアが1~2等級のとき、治療を標榜するソフトウェアは3~4等級に進みます。
等級を定められない場合は等級未指定とし、許可後に等級指定を要請できます(別表4ダ目)。同じ告示の第7条第3項は等級が許可・認証を受けたか届出が受理された時に最終的に決定されたものとみなすとしています。
4. 座標が決めるもの二 — 許可トラック
施行規則第6条はトラックをこう分けます。
| トラック | 対象 |
|---|---|
| 製品群別の認証 | 2等級のうち告示品目 |
| 製品群別の届出 | 1等級のうち告示品目 |
| 製品別の製造許可 | 3・4等級 + 等級未指定機器 + 2等級のうち新医療技術評価の統合申請機器 |
| 製品別の認証 | 2等級 |
| 製品別の届出 | 1等級 |
3節のマトリクスと重ねて読めば結論が出ます。治療を標榜するソフトウェアはほとんどが製品別の製造許可トラックです。
許可手続きの期限も条文にあります — 製造業許可は申請日から25日以内に通知され(第8条第8項)、その期間に通知しなければ許可したものとみなされます(第9項)。製造業変更許可は15日以内(第11条)です。
5. 座標が決めるもの三 — 臨床試験資料の免除
ここがこの記事で最も実務的な部分です。
「デジタル医療製品の許可・認証・届出・審査及び評価等に関する規定」(2026年9月確認基準の最新版は告示第2026-54号、2026年7月27日)第24条第1項は独立型ソフトウェアの提出資料を八つ定めます — 使用目的および作用原理、国内外の現況および開発経緯、ソフトウェアの検証および有効性、臨床試験等の評価に関する資料、電子的侵害行為からの保護措置、使用適合性、専門家用資料、そして人工知能技術適用時の変更管理計画書。
免除は第25条が定めます。
| 根拠 | 免除されるもの | 条件 |
|---|---|---|
| 第1項第1号 | ソフトウェア検証・有効性、セキュリティ、使用適合性 | 優秀管理体系の認証者が等級未指定または2等級の独立型ソフトウェアを許可・認証する場合 |
| 第1項第2号 | すでに検討を受けた資料 | 事前検討結果通知書の提出 |
| 第1項第3号 | 臨床試験等の評価資料 | 性能評価結果書 + 整合性の自社評価資料の提出 |
| 第1項第4号 | 臨床試験等の評価資料 | 使用目的が別表3に該当し臨床的有効性を標榜しないこと |
| 第4項 | 追加される事項以外 | 既許可医療機器にデジタル技術が適用されて新たに許可を受ける場合 |
そして別表3(免除・代替が可能な使用目的)の治療項目は位置提供と治療計画の二つだけです。知能型ロボット技術が適用されたものはそれすら除外されます。
ここでデジタル治療機器の位置がはっきりします。第1項第4号の免除はすべて「臨床的有効性を標榜しない」場合に結びつけられていますが、治療的有効性の標榜はデジタル治療機器の定義そのものです。したがってこの免除経路は開きません。
残る道は四つです。
- 事前検討(法第39条) — 許可・臨床試験資料についてあらかじめ検討を要請でき、食薬処長はその結果を考慮しなければなりません
- 提出みなし(告示第25条第2項) — 既許可の独立型ソフトウェア機能をプログラム変更なしに活用する場合、ハードウェアが既許可機器と同等であることを立証した場合、再評価で臨床的安全性・有効性を立証した場合
- デジタル技術のみ追加(第25条第4項) — 既許可医療機器にデジタル技術が適用されて新たに許可を受ける場合、追加される事項の資料のみ提出
- 実使用評価(法第15条) — 医療人・医療機関に評価対象機器を提供し使用記録の閲覧・写しを要請でき、その資料を許可・変更許可に活用できます
臨床試験計画の承認そのものの免除は施行規則第14条第3項が六つを挙げます。そのうちデータ臨床試験(既存データを用い対象者に直接使用しない場合)、変更管理計画の範囲内の実使用評価目的の臨床試験、そして優秀管理体系の認証業者が1・2等級の独立型ソフトウェアについて実施する臨床試験が実務で頻繁に検討されます。
6. 独立型ソフトウェアにだけ付く特則
旧SaMDに該当する法定用語は第2条第7号ナ目「独立型デジタル医療機器ソフトウェア」です。ここにだけ付く条文があります。
- 第24条・第25条 品質管理基準の適合判定 — 適合判定を受けなければならず、有効期間は3年です。定期調査に適合すれば3年の範囲で延長されます
- 第27条 販売の特例 — 自社が製造・輸入した独立型ソフトウェアを情報通信サービスの購読・提供、電子的設置等の形態で販売する場合、販売業届出をしないことができます
- 第28条 医療機器法の適用一部除外 — 独立型ソフトウェアには医療機器法の複数の条文を適用しません。ただし国民保健に重大な危害のおそれがある場合はこの限りではありません
- 第14条 セキュリティ — 食薬処長がセキュリティ指針を設け、製造・輸入業者と維持管理の受託者もその指針を遵守しなければなりません
- 第22条 表示 — 許可番号、製造番号・製造年月とともにバージョン情報を記載します
- 第26条 — ソフトウェアの維持・管理業務の第三者委託が認められます
7. 許可が終わりではありません
治療を標榜する製品には許可の後にもう一つ扉があります。病院がその機器を使った行為に値段を付けるには、その行為が既に登載された項目でなければならず、そうでなければ保健福祉部の新医療技術評価を経ます。施行規則第6条が「2等級のうち新医療技術評価の統合申請機器」を製品別製造許可の対象として別途記しているのも、この二つの手続きが実際に一緒に動くからです。詳しくは新医療技術評価ガイドをご覧ください。
よくある失敗
- 2020年の案内書の定義だけを見てデジタル医療製品法の体系を飛ばした場合
- 「デジタル治療機器」を法定の製品群と見て別途のトラックがあると期待した場合 — トラックを定めるのは等級です
- 臨床的有効性を標榜しながら別表3の免除を期待した場合
- 人工知能技術を適用しながら変更管理計画書(施行規則第7条第2項、告示第24条第1項第8号)を準備しなかった場合
- 購読販売だから販売業届出が免除されることをすべての販売形態に拡大して理解した場合
- 品質管理基準の適合判定の有効期間3年を管理台帳に入れなかった場合
進める前のチェックリスト
- 製品に施行規則第2条のデジタル技術が適用されるか確定する(適用されなければ医療機器法トラック)
- 別表3の製品コードで主たる使用目的の座標を特定する(C3か、B・Fか)
- 別表4のマトリクスで予想等級を出し、調整(+1/−1)の要否を検討する
- 施行規則第6条で許可・認証・届出のトラックを確定する
- 臨床的有効性の標榜可否を文書で確定する → 免除経路の該当可否がここで分かれる
- 人工知能技術の適用があれば変更管理計画書を資料リストに入れる
- 事前検討(法第39条)の活用可否と時点を決める
- 新医療技術評価の統合申請可否を許可申請前に決める
デジタル治療機器は製品ではなく座標で管理される制度の中にあります。座標が決まれば等級もトラックも資料の範囲も付いてきます。自社製品の座標がどこで、どの緩和経路が開いているかを、まず無料事前検討でご確認いたします。
よくあるご質問
- Q. デジタル治療機器は法でどう定義されますか?
- デジタル医療製品法とその施行令・施行規則に「デジタル治療機器」という用語は出てきません。この名前が規範文書に登場する場所は「デジタル医療製品の分類及び等級指定等に関する規定」別表3の製品コードです。主たる使用目的の大分類C(治療)の細目3番がデジタル治療機器です。定義を含む文書は2020年8月27日に発刊された食薬処の民願人案内書「デジタル治療機器許可・審査ガイドライン」であり、その案内書は自ら対外的な法的効力を持たないと明示しており、デジタル医療製品法以前に作られた文書です。
- Q. デジタル医療製品法は医療機器法を代替しますか?
- 代替ではなく上に載る構造です。デジタル医療製品法第5条は、デジタル医療機器に関してこの法に規定されたものを除いては「医療機器法」と「体外診断医療機器法」を準用すると定めます。また第8条第1項は、この法の製造業許可を受けた者をデジタル医療機器に限定して医療機器法第6条第1項の製造業許可を受けたものとみなします。ただし独立型デジタル医療機器ソフトウェアについては第28条が医療機器法の複数の条文を適用しないこととしています。
- Q. デジタル治療機器は届出や認証で進めますか?
- 多くは許可トラックです。施行規則第6条は製品別製造許可の対象として3・4等級、等級が指定されていない機器、そして2等級のうち新医療技術評価を統合申請する機器を挙げます。分類・等級告示別表4の等級マトリクスで治療目的のソフトウェアは、対象疾患が深刻なら3等級、危篤・致命的なら4等級に進みます。したがって治療を標榜する製品が届出や認証で進むことは多くありません。
- Q. 臨床試験資料の免除を受けられますか?
- 治療的有効性を標榜するなら、その免除経路には該当しません。「デジタル医療製品の許可・認証・届出・審査及び評価等に関する規定」第25条第1項第4号は、別表3に該当する使用目的でありながら臨床的有効性を標榜しない場合に臨床試験等の評価資料を免除します。別表3の治療項目は位置提供と治療計画の二つだけで、すべての免除が臨床的有効性の非標榜を条件に結びつけられています。残る緩和経路は事前検討結果の活用、同等性による提出みなし、既許可機器へのデジタル技術追加、そして実使用評価資料の活用です。
