ガイドライン手続き別2026.09.13
中古医療機器を売るには — 規制は「中古」ではなく「どこで買ったか」にかかります
中古医療機器の取引に別途の許可手続きはありません。代わりに施行規則が仕入先を制限し、医療機関から買ってきた機器に検査と検査済証の義務を付けます。個人から買うことは条文が想定しておらず、検査済証のない機器は陳列すらできません。条文で整理しました。
要点サマリー — 中古医療機器の取引を調べると「中古医療機器販売許可」のような手続きを探すことになります。そのような手続きはありません。条文は「中古」という言葉をほとんど使わず、代わりに仕入先を制限し、医療機関から買ってきた機器に検査義務を付ける方式で規律します。実務で押さえるべきは四つ — どこで買えるか、検査と検査済証、何を陳列すらしてはいけないか、そして記録の保存期間です。2026年9月確認基準で医療機器法と施行規則の条文を直接照合して整理しました。
1. まず販売業届出 — 中古だからといって変わりません
医療機器を業として販売しようとする者は営業所ごとに管轄の特別自治市長・特別自治道知事・市長・郡守・区庁長に販売業届出をしなければなりません(法第17条第1項)。新品か中古かで分かれません。
届出をしなくてもよい場合は同条第2項に列挙されています — 製造業者・輸入業者が自ら作ったり輸入した機器を医療機器取扱者に販売・賃貸する場合、販売業届出をした者が賃貸業を行う場合、薬局開設者や医薬品卸売商が販売・賃貸する場合、そして総理令で定める妊娠調節用機器と医療機関外の場所で使う自己診断用機器を販売する場合です。
届出の処理も速いものです。自治体は届出を受けた日から3日以内に受理可否を通知しなければならず(第17条第4項)、その期間に通知しなければ期間が終わった日の翌日に受理したものとみなされます(第5項)。手続き自体は販売業届出ガイドで扱います。
2. どこで買えるか — ここが第一の関門です
施行規則第40条第1号が仕入先を制限します。
製造業者・輸入業者・販売業者でない者から医療機器を購入しないこと。ただし、医療機関から購入する場合は除く。
読むと適法な仕入先が四つに整理されます。
| 仕入先 | 可否 |
|---|---|
| 製造業者 | 可能 |
| 輸入業者 | 可能 |
| 他の販売業者 | 可能 |
| 医療機関 | 可能(ただし書で明示) |
| 個人、廃業事業場、仲介プラットフォームの個人出品者 | 条文が予定した経路ではありません |
中古医療機器事業の失敗はたいていここから始まります。物を安く確保しようと個人から買い入れると、その後の検査・検査済証の手続きがそもそも成立しません。
3. 医療機関から買ったなら — 検査と検査済証
施行規則第39条第1号は、医療機関から医療機器を購入した場合に三つを守るよう定めます。
| 目 | 義務 |
|---|---|
| ガ | 当該医療機器の製造業者または輸入業者に検査を依頼するか、医療機器試験・検査機関に検査を依頼すること |
| ナ | その検査結果として発行された検査済証を受けた医療機器のみ販売または賃貸すること |
| ダ | 検査結果として販売または賃貸に関する指示を受けた場合はこれを守ること |
検査を依頼された側の義務も条文にあります。
- 製造業者 — 施行規則第27条第1項第16号。別表2第2号の製造及び品質管理体系の基準に適合するか検査し、適合した場合にのみ検査済証を発行します。発行の手続き・方法・回信期間と販売・賃貸の指示事項は食薬処長が告示で定めます
- 輸入業者 — 施行規則第33条第1項第20号。同じ構造です
一方製造業者や輸入業者が医療機関から自社製品を買い戻した場合には、その自身に検査義務が付きます(第27条第1項第15号、第33条第1項第19号)。検査に適合してはじめて検査済証を付けて出庫でき、検査の内容と結果、検査済証の発行日を記録して出庫日から2年保存しなければなりません。
輸入業者にはもう一行あります。第33条第1項第19号は「中古医療機器を輸入し、または医療機関から自社が輸入した医療機器を購入した場合」を併せて規律します。中古機器を海外から持ち込む場合がここにかかります。
4. 陳列すらしてはいけないもの
施行規則第40条第3号は、販売・賃貸はもちろん販売または賃貸の目的で保管・陳列することまで禁じます。
- 検査済証が付いていないもの(第39条第1号ナ目による検査済証)
- 汚染・損傷したもの、または食薬処長や地方食薬庁長が収去・廃棄を命じたもの
- 使用期限または有効期間が過ぎたもの
同条第4号は許可・認証を受けていないか届出をしていない医療機器を販売したり販売目的で保管・陳列することを禁じます。
「とりあえず店に置いて検査は売れるときに受けよう」という順序が条文と食い違うということです。検査が先で陳列が後です。
5. 記録 — 2年と1年
| 記録 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 検査の内容および結果、検査済証の発行者・発行日、販売・賃貸の指示事項 | 販売日から2年 | 施行規則第39条第2号 |
| 不良医療機器の処理に関する記録 | 記録日から1年 | 第39条第3号 |
| (製造・輸入業者)検査の内容・結果、検査済証の発行日 | 出庫日から2年 | 第27条第1項第15号ナ目、第33条第1項第19号ナ目 |
ここに第39条第4号がもう一つ付きます — 別表6の医療機器流通品質管理基準を遵守すること。ただし法第17条第2項により販売業届出をしなくてもよい場合は除かれます。
6. 検査済証が免除される場合
施行規則第41条(中古医療機器検査済証の免除)は、第27条第1項第15号、第33条第1項第19号、第39条第1号ナ目と第40条第3号ガ目にかかわらず、潜在的危険性が低い医療機器など食品医薬品安全処長が定めて告示する医療機器は検査済証を付けずに販売できるとしています。
取扱品目がその告示目録にあるかを確認することが事業設計の第一段階です。免除対象なら検査費用と回信の待ち時間が丸ごと消え、そうでなければその時間が在庫回転期間にそのまま入ります。
7. 違反すると — 品目単位で業務が停止します
施行規則の行政処分基準は、輸入業者が第33条第1項第19号に違反した場合をこう定めます。
- 検査をしないか検査済証を付けて出庫しなかった場合 — 1次は当該品目の販売業務停止1か月、2次3か月、3次6か月、4次は当該品目の輸入許可・認証の取消または輸入禁止
- 記録を作成・備置しないか保存しなかった場合 — 15日、1か月、3か月、6か月
処分が会社全体ではなく当該品目単位で下りる点に注目してください。主力品目一つが止まれば事業が止まります。
よくある失敗
- 個人から仕入れておいて検査・検査済証の手続きを踏もうとして詰まる場合(第40条第1号)
- 検査をどの試験機関にでも任せる場合 — 条文は当該機器の製造業者・輸入業者または医療機器試験・検査機関を指定します
- 検査前に店舗に陳列しておく場合(第40条第3号ガ目)
- 検査済証は揃えたのに記録2年保存を落とす場合(第39条第2号)
- 製造・輸入業者が自社製品を病院から買い戻しながら自分に付く検査義務を知らない場合(第27条第1項第15号・第33条第1項第19号)
- 中古機器を海外から輸入しながら第33条第1項第19号を検討しなかった場合
進める前のチェックリスト
- 販売業届出を済ませたか(営業所ごと、法第17条第1項)
- 仕入先が製造業者・輸入業者・販売業者・医療機関のいずれかか
- 取扱品目が第41条の免除告示目録にあるか確認したか
- 免除でなければ検査依頼先(当該製造・輸入業者または試験・検査機関)を事前に確保したか
- 検査済証の回信にかかる期間を在庫回転計画に入れたか
- 検査記録を販売日から2年保存する様式と担当者が決まっているか
- 不良機器の処理記録(1年)の様式があるか
- 別表6の流通品質管理基準を読んだか
中古医療機器事業の成否は価格ではなく仕入先と検査の回信時間で分かれます。取り扱おうとする品目が検査済証の免除対象か、仕入経路が条文の中にあるかを、まず無料事前検討でご確認いたします。
よくあるご質問
- Q. 中古医療機器を売るにはどのような許可が必要ですか?
- 中古であることを理由に付く別途の許可はありません。医療機器を業として販売するには新品でも中古でも医療機器法第17条第1項により営業所所在地の管轄自治体に販売業届出をしなければならず、その上で施行規則第39条と第40条が定める品質確保方法と販売秩序維持事項を守らなければなりません。規制の重みは「中古か」ではなく「その機器をどこで買い、検査を受けたか」にかかっています。
- Q. 個人から買って売ってもよいですか?
- 施行規則第40条第1号は、製造業者・輸入業者・販売業者でない者から医療機器を購入しないよう定めています。ただし医療機関から購入する場合は除かれます。つまり適法な仕入先は製造業者、輸入業者、他の販売業者、そして医療機関です。個人や廃業事業場から直接買い入れることは、この条文が予定している経路ではありません。
- Q. 検査済証は誰が発行しますか?
- その機器の製造業者または輸入業者です。施行規則第39条第1号ガ目は、医療機関から購入した場合に当該医療機器の製造業者や輸入業者に検査を依頼するか、医療機器試験・検査機関に検査を依頼するよう定め、ナ目はその検査結果として発行された検査済証を受けた医療機器のみを販売または賃貸するよう定めます。検査を依頼された製造業者・輸入業者の義務は第27条第1項第16号と第33条第1項第20号に別途規定されています。
- Q. 検査済証が免除される場合もありますか?
- あります。施行規則第41条は、潜在的危険性が低い医療機器など食品医薬品安全処長が定めて告示する医療機器の場合、検査済証を付けずに販売できるとしています。ただしどの品目がこれに該当するかは告示が定めるため、取扱品目がその目録にあるかを確認することが先です。
