ガイドライン手続き別2026.09.14
販売業ではない業 — 医療機器の賃貸業と修理業の届出
販売業届出をしていれば賃貸業を改めて届け出ることはありません。ところが修理は全く別の届出であり、施設と品質管理体系まで求めます。自社製品を直す場合は届出の対象ではなく、オンライン販売のみなら住宅も営業所として使えます。三つの業の境界を条文で整理しました。
要点サマリー — 医療機器を扱う業は販売業だけではありません。賃貸業と修理業が別にあり、三つの関係は直感と少し違います。販売業届出をしていれば賃貸業を改めて届け出ません。一方修理業は全く別個の届出であり、施設と品質管理体系まで求めます。そして自社が作ったり持ち込んだ機器を直す場合は届出の対象ではありません。2026年9月確認基準で医療機器法と施行規則の条文を直接照合して整理しました。
三つの業を一枚に
| 販売業 | 賃貸業 | 修理業 | |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 法第17条第1項 | 法第17条第1項 | 法第16条第1項 |
| 届出官庁 | 営業所所在地の自治体 | 営業所所在地の自治体 | 修理業所所在地の自治体 |
| 単位 | 営業所ごと | 営業所ごと | 修理業所 |
| 処理期間 | 3日(未通知なら受理みなし) | 3日 | 10日(未通知なら受理みなし) |
| 施設要件 | 条文に別途規定なし | なし | 施設および品質管理体系(施行規則別表5) |
| 様式 | 別紙第36号 | 別紙第36号 | 別紙第33号 |
1. 賃貸業 — 販売業届出があれば代えられます
法第17条第2項は届出をしなくてもよい場合を四つ挙げます。
- 製造業者・輸入業者が自ら製造または輸入した医療機器を医療機器取扱者に販売または賃貸する場合
- 販売業届出をした者が賃貸業を行う場合
- 薬局開設者や医薬品卸売商が医療機器を販売または賃貸する場合
- 総理令で定める妊娠調節用医療機器と医療機関外の場所で使用される自己診断用医療機器を販売する場合
2番が実務で最もよく使われます。販売業届出証があれば賃貸事業を追加で始めるときに届出を新たにしません。ただし方向は一方向です — 賃貸業届出だけがある状態で販売を始めることは、この条文が扱っていません。
4番の具体的な品目は施行規則第38条が定めます。
- コンドーム
- 携帯電話および家電製品などに血糖測定機能が含まれているか結合して使用される血糖測定器
- その他、食薬処長が危害の程度と安全性を考慮して告示する医療機器
2. オンライン販売なら — 住宅も営業所になります
施行規則第37条第2項は実務であまり知られていない条項です。
法第17条第1項により医療機器の販売を業としようとする者で、「電子商取引等における消費者保護に関する法律」による電子商取引・通信販売の方式で医療機器を販売しようとする者は、「建築法」による住宅用途の建築物または「ベンチャー企業育成に関する特別措置法」第18条の3第1項による創業保育センターを営業所として使用することができる。
オンラインだけで販売する事業者が別途の店舗を借りなくてもよいという意味です。ただし届出自体は営業所ごとに行わなければならず、販売業届出ガイドが扱う残りの要件はそのままです。
届出の処理は3日です(法第17条第4項)。その期間に受理可否や処理期間の延長を通知しなければ、期間が終わった日の翌日に受理したものとみなされます(第5項)。
もう一点。自治体は販売業者・賃貸業者が「付加価値税法」により税務署長に廃業届出をしたか事業者登録が抹消された場合、届出事項を職権で抹消できます(第17条第6項)。事業者登録を整理しながら医療機器の届出が一緒に消えるのはここで起こります。
3. 修理業 — ここから性格が違います
法第16条第1項は医療機器の修理を業としようとする者に修理業届出を求めます。ただしただし書が付きます。
製造許可・製造認証・製造届出または輸入許可・輸入認証・輸入届出を受けた者が自社が製造または輸入した医療機器を修理する場合には修理業届出をしない。
製造社や輸入社が自社製品のアフターサービスを行うことは別途届出の対象ではないという意味です。ところが施設要件は残ります。同条第2項は修理業届出をしようとする者とともに「ただし書により自社が輸入した医療機器を修理しようとする者を含む」と明示しながら施設および品質管理体系を備えるよう求めます。ただし品質管理のための試験を委託するなど総理令で定める場合は例外です。
備えるべき施設と品質管理体系は施行規則別表5にあります(第35条第4項)。
届出は別紙第33号様式で行い、受理されると別紙第34号様式の届出証が出ます。届出台帳には受理番号と年月日、修理対象医療機器の類型、修理業者の人的事項、修理業所の名称・所在地が記されます(第35条第2項)。
処理期間は販売業と異なります — 届出は10日以内、廃業・休業の届出は7日以内です(法第16条第5項)。未通知時に翌日受理とみなす点は同じです(第6項)。
4. 修理業者の遵守事項 — 四つ
施行規則第36条が定めます。
| 号 | 遵守事項 |
|---|---|
| 1 | 許可・認証を受けたか届け出た内容と異なるように変造して修理しないこと(軽微な変更修理は例外) |
| 2 | 医療機器を修理した場合、商号および住所をその医療機器の容器または外装に記載すること |
| 3 | 修理を依頼した者に修理内訳を文書で通報すること(軽微な変更修理をした場合はその内訳を含む) |
| 4 | 第35条第4項による施設および品質管理体系を維持すること |
1号が修理業の核心です。修理は元の状態に戻すことであって仕様を変えることではありません。許可を受けた内容と異なるようにすれば、それは修理ではなく無許可製造に近づきます。
2号と3号はよく落とす項目です。直した機器の容器や外装に修理した会社の商号と住所を記載しなければならず、修理内訳を文書で残して依頼人に渡さなければなりません。口頭の説明は条文が求める形ではありません。
また法第16条第4項が第12条(変更許可)・第13条(遵守事項)・第14条第1項(廃業等)を準用しながら「製造」を「修理」に、「生産管理」を「修理管理」に読み替えるよう定めます。つまり修理業者にも変更届出と遵守事項の体系がそのまま来ます。
5. 販売業者・賃貸業者の遵守事項は一緒に来ます
法第18条第1項は医療機器を販売または賃貸できる者に営業所における医療機器の品質確保方法と販売秩序維持に関する事項を守るよう求めます。具体的な内容は施行規則第39条と第40条であり、これは中古医療機器ガイドで詳しく扱います。
同条第2項は経済的利益等の提供禁止を定めます。販売業者・賃貸業者とこれらから販売・賃貸促進業務を委託された医療機器販促営業者は、採択・使用誘導・取引維持などを目的として医療人や医療機関開設者・従事者に経済的利益等を提供してはなりません。見本品の提供など保健福祉部令が定める範囲は例外です。第3項は販促営業者でない者に販促業務を委託することを禁じます。
よくある失敗
- 賃貸事業を始めながら賃貸業届出を新たにしようとして時間を使う場合 — 販売業届出があれば代えられます(法第17条第2項第2号)
- 逆に賃貸業届出だけがある状態で販売を始める場合 — 条文が代えてくれる方向は一方向です
- 自社製品のアフターサービスだから届出がないとして施設・品質管理体系の要件までないと理解した場合(法第16条第2項)
- 修理しながら性能や仕様を改善してあげた場合(施行規則第36条第1号)
- 修理後の商号・住所の記載と修理内訳の文書通報を落とした場合(同条第2号・第3号)
- 事業者登録を抹消しながら医療機器の届出が職権抹消されたことを知らない場合(法第17条第6項)
進める前のチェックリスト
- 自社がしようとするのが販売か、賃貸か、修理かをまず分ける
- 販売業届出が既にあれば賃貸業届出が不要かを確認する
- オンライン専用なら住宅・創業保育センターを営業所として使えるか(施行規則第37条第2項)検討する
- 修理をするなら自社製品か他社製品かを区分する → 他社製品なら修理業届出
- 自社製品だけを直すとしても別表5の施設・品質管理体系を備えたか確認する
- 修理後の容器・外装記載と修理内訳の文書通報の様式を作っておく
- 変更届出の対象(所在地・代表者など)と処理窓口を整理しておく
三つの業の境界はしようとする行為で分かれます。売るのか、貸すのか、直すのかによって届出の窓口も施設要件も変わります。いまの事業モデルがどの届出を必要とするかを、まず無料事前検討でご確認いたします。
よくあるご質問
- Q. 販売業届出をしましたが、賃貸もするには改めて届け出が必要ですか?
- 必要ありません。医療機器法第17条第2項第2号は、第1項による販売業届出をした者が賃貸業を行う場合を届出をしないことができる場合として挙げています。逆に賃貸だけを行う場合には賃貸業届出が必要です。二つの業の遵守事項は法第18条と施行規則第39条・第40条で併せて規律されるため、実務上の負担は同じです。
- Q. 自社が作った機器を自社で直すのにも修理業届出が必要ですか?
- 必要ありません。医療機器法第16条第1項ただし書は、製造許可・製造認証・製造届出または輸入許可・輸入認証・輸入届出を受けた者が自社が製造または輸入した医療機器を修理する場合、修理業届出をしないと定めます。ただし同条第2項は、このただし書に該当して自社が輸入した医療機器を修理しようとする者にも施設および品質管理体系を備えるよう求めています。
- Q. 修理業届出には何が必要ですか?
- 施行規則第35条第1項により、別紙第33号様式の修理業届出書に第3条第1項第1号と第2号の書類を添付して修理業所の所在地を管轄する自治体に提出します。同条第4項は備えるべき施設および品質管理体系を別表5で定めます。自治体は届出を受けた日から10日以内に受理可否を通知しなければならず、その期間に通知しなければ翌日に受理したものとみなされます。
- Q. オンラインだけで販売しますが、事務所を別に借りる必要がありますか?
- 施行規則第37条第2項は、電子商取引・通信販売の方式で医療機器を販売しようとする者が「建築法」による住宅用途の建築物または創業保育センターを営業所として使用できるとしています。ただし販売業届出自体は営業所ごとに行わなければならず、施行規則第39条・第40条の品質確保方法と販売秩序維持事項はオンライン販売にもそのまま適用されます。
