ガイドライン輸入・通関2026.09.04
海外で調達したのに輸入業許可で止まりました — 販売者が選べる三つの道
製品は見つかったのに輸入業許可の前で止まる例が多くあります。自分で受ける道、すでに輸入されたものを買う道、輸入許可権者を別に置く道 — 三つを統制力・要件・リスクで比較し、三つ目で必ず区別すべき点を押さえました。
要点 — 海外で良い製品を見つけながら輸入業許可の前で止まる例が多くあります。進める道は三つです — ①自分で輸入業許可を受ける ②すでに輸入された製品を国内で買って売る ③輸入許可権者を別に置き、販売に集中する。三つは統制力・要件・リスクが互いに交換される関係です。そして③を見るとき、必ず区別すべきことが一つあります。2026年9月確認基準で整理しました。
なぜここで止まるのか
製品の調達はむしろ易しいほうです。展示会で見つけたり、海外プラットフォームで発見したり、製造社から先に連絡が来ることもあります。
問題はその次です。「輸入して売ればよい」と「輸入できる」は別の話です。
医療機器法第15条がその構造を定めています。
① 医療機器の輸入を業としようとする者は、食品医薬品安全処長の輸入業許可を受けなければならない。(…)③ 第1項による輸入業許可を申請するときは、第2項各号による1件以上の輸入許可または輸入認証を併せて申請するか、1件以上の輸入届出を併せて行わなければならない。 — 医療機器法第15条
つまり会社の資格(輸入業許可)と製品の手続き(品目許可・認証・届出)が一組で動きます。そして輸入業許可には要件が付きます。
- 品質責任者 — 輸入業所ごとに1名以上(施行規則第11条第1項、輸入業は第34条を準用)
- 施設 — 営業所・保管所など(施行規則第31条第1項および[別表4])
- 品質管理体系 — 上の別表が施設とともに定めます
ここで実際に多く止まるのは人です。施設は金と時間で解決しますが、品質責任者の資格はそうではありません。資格経路は十通りに開かれていて思ったより広いのですが(品質責任者ガイド)、該当の有無を確認し証憑を集めるのに時間がかかります。
三つの道
| ①自分で輸入業許可 | ②国内で買って販売 | ③輸入許可権者を別に | |
|---|---|---|---|
| 自分が受けるもの | 輸入業許可+品目手続き | 販売業届出 | 販売業届出 |
| 要件の負担 | 品質責任者・施設・品質管理体系 | 営業所単位の届出 | 販売側のみ |
| 製品の選択権 | 自分が決める | すでに輸入されたものの中から | 自分が決める |
| 許可の帰属 | 自分 | その製品を輸入した会社 | 許可権者 |
| 最大のリスク | 要件確保の失敗・初期費用 | 供給が切れれば終わり | 許可権者との関係設計 |
三つは優劣ではなく交換です。統制力を持てば要件を負い、要件を減らせば統制力を手放します。
① 自分で受ける道
最も統制力が大きい道です。製品も自分が決め、許可も自分のもので、あとでラインナップを広げるのも容易です。
代わりに前述の要件をすべて備える必要があり、輸入業許可と最初の品目手続きが一組に縛られているため初期負担が一度に集まります。詳細は輸入・通関ガイドと1等級輸入ガイドに整理しています。
この道が合う場合 — 扱う品目が複数で今後も増やす計画なら、要件を一度備えるほうが結局は安くなります。
② 国内で買って売る道
すでに国内に輸入された製品を買って転売するのは、輸入業ではなく販売業の領域です。
販売業の負担は明らかに軽くなります。許可・認証のような審査手続きや別途の資格要件なしに営業所単位の届出で進みます。ただし欠格事由は準用され(法第17条第3項)、届出後には流通品質管理基準などの遵守事項が付いてきます(販売業届出ガイド)。
代わりに二つを手放すことになります。
一つ目は製品の選択権です。すでに誰かが輸入しておいたものの中から選ぶことになります。
二つ目のほうが重要です — 許可が自分のものではありません。
販売者が最も見落とすこと
総代理店契約を結ぶと、その製品が「自社の製品」になったように感じられます。ところが品目の許可・認証・届出は、その製品を輸入した輸入業者に付きます。
総代理店契約は販売権に関する取り決めであり、許可の帰属とは別です。
そのためこういうことが起こります。
- 数年かけて市場を開いたのに、輸入社が総代理店を替えればその製品を売り続ける根拠が消えます
- 輸入社がその品目を整理することにすれば、自社の売上も一緒に止まります
- 自分が作った取引先とブランド認知が、許可を持つ側の資産になっています
契約前に確認すべき点です。「この関係が終わったとき、自分には何が残るのか。」
③ 輸入許可権者を別に置く道
三つ目は輸入業許可と品目許可を別の会社が保有し、販売者は販売に集中する構造です。
この構造を見るとき、必ず区別すべきことが一つあります。
名義だけを借りる構造は成り立ちません。 輸入業者には品質責任者の配置、営業所・保管条件、市販後の対応と食薬処への報告といった法令上の義務が付き続けています。その義務を実際に果たす主体がいなければ構造そのものが維持されず、問題が生じたときに責任の所在も整理されません。
したがってこの道を検討されるなら、許可権者に問うべきことは三つです。
1. 法令上の義務を実際に履行していますか。 品質責任者を置いているか、市販後の対応と報告を誰が行うか。名前だけ載せておく構造なら、それ自体がリスクです。
2. 販売を独占しますか。 ここが②の道と分かれる地点です。許可権者がそのまま総代理店なら、②と同じリスクがそのまま戻ってきます — 関係が終われば販売も終わります。逆に許可権者が販売に関与しない中立的な位置にいれば、登録が特定の販売社に縛られません。
3. 役割と権利が契約書に書かれていますか。 輸入の主体は誰か、品質責任は誰が負うか、市販後対応の範囲はどこまでか、そして自社の取引先と販売チャネルはどう保護されるか。 口頭で整理されたものは、関係が悪くなれば残りません。
三つのうち何を選ぶか — 判断の順序
- 品目がいくつあり、増やす計画か — 複数で増やし続けるなら①の初期負担は回収されます
- 品質責任者を確保できるか — 候補者の資格経路から確認。ここで答えが分かれます
- 製品の選択権が事業の核心か — 核心なら②は合いません
- 関係が終わったとき何が残るか — ②・③のいずれもこの問いに答えられる必要があります
- 市販後対応を担えるか — 更新・報告・不具合対応は発給以降も続きます
2番と4番が実際に決めます。残りはおおむねその二つに従います。
どの道でも一緒に来るもの
三つのうち何を選んでも、売る行為そのものに付く規則は別にあります。
- 広告文言 — 許可を受けた使用目的を超える表現は媒体と無関係に制限されます(詳細ページ広告ルール)
- 広告審議 — 媒体によって事前審議の対象になります(広告審議ガイド)
- 表示記載 — 韓国語表示と原文ラベルの整合(表示記載ガイド)
- 市販後管理 — UDI登録・供給内訳報告、そして5年ごとの更新(更新ガイド)
許可構造を決めることと売り方を決めることは別なので、一つを解決しても残りがついてくるわけではありません。
よくある失敗
- 製品を先に契約してから輸入要件を調べる — 順序が逆になると契約が埋没費用になります
- 総代理店契約を許可の帰属と同じものとして理解する
- 関係が終わったとき何が残るかを契約前に決めない
- 許可権者が法令上の義務を実際に履行しているか確認しない
- 許可構造だけ決めて広告・表示・市販後管理を後回しにする
着手前チェックリスト
- 扱う品目数と拡張計画を整理 → ①の初期負担が回収される規模か判断
- 品質責任者候補の資格経路を確認(証憑確保の可否まで)
- 製品の品目名・等級を確認 → 品目手続きが届出・認証・許可のどれか
- ②・③を見るときは「関係が終われば何が残るか」を契約前に文書で
- ③なら許可権者に義務履行・販売独占の有無・契約の明文化の三つを確認
- 広告文言・表示記載・市販後管理の負担を誰が負うかも一緒に整理
この判断は製品・品目数・販売計画によって分かれます。製品概要と販売計画さえ教えていただければ、どの道が合うかから確認します。 当社は輸入構造を運営していますが、検討の結果その構造のリスクが大きいと見えれば、直接お受けになるほうをお勧めします。 無料事前検討から始めていただけます。
よくあるご質問
- Q. 海外製品を仕入れて国内で売るには輸入業許可が必ず要りますか。
- 自分で輸入するなら必要です。医療機器の輸入を業とするには食品医薬品安全処長の輸入業許可を受けなければならず(医療機器法第15条第1項)、それとは別に製品ごとに等級に応じた輸入許可・認証・届出が必要です(同条第2項)。ただし、すでに国内に輸入された製品を国内で買って転売する場合は、輸入業ではなく販売業の領域です。
- Q. 総代理店契約を結べば、その製品の許可は自社のものですか。
- 違います。品目の許可・認証・届出は、その製品を輸入した輸入業者に付きます。総代理店契約は販売権に関する取り決めであり、許可の帰属とは別です。したがって輸入社との関係が終われば、その製品を売り続ける根拠も一緒に失われることがあります。契約前に確認すべき点です。
- Q. 輸入業許可だけを借りる構造もありますか。
- 名義だけを借りる構造は成り立ちません。輸入業者には品質責任者の配置、営業所・保管条件、市販後の対応と食薬処への報告といった法令上の義務が付き続けており、その義務を実際に果たす主体がいてはじめて構造が維持されます。許可権者がその義務を実際に履行しているか、契約書に役割と責任が書かれているかをまず確認してください。
- Q. 品質責任者を確保できず止まっています。方法はありますか。
- 資格経路が十通り開かれており、思ったより選択肢は広いので、まず候補者の学歴・経歴がどの経路に該当するかを確認するのが順序です。それでも確保が難しければ、直接の輸入業許可ではなく他の道を検討することになります。この判断は製品と販売計画によって変わります。
